活動実績

業務活動実績

25年度の業務活動実績

1.調査研究及び試験事業

[ 自主事業 ]

(1) 車両関係

 平成25年度は車両委員会の下で以下の活動を実施した。

ア.車両に係る品質向上

 平成24年度に引き続き、品質向上に関する部会テーマとして「電子機器装置の検修における信頼性向上の取り組み」について作業部会を開催し、報告書作成の具体的な進め方等の検討を行った。

イ.車両に係る技術継承

 ①「主回路シリーズ(集電装置編)」の出版物の刊行

 平成24年度に引き続き、車両に係る技術継承作業部会テーマとして「主回路シリーズ(集電装置編)」の出版物の刊行を目指し、執筆の作業部会を開催した。引き続き平成26年10月の落成目標に向けて継続していく。

 ②車両関係学習「現場管理者等を養成するスキルアップ塾」の開設

鉄道事業者の中から中堅の技術者を育てるため、当協会が事務局となり、16社21名の受講者に対して、平成25年度は6回の講義・研修会を実施した。平成26年度も6回を計画し、2年間で合計12回の講義・研修会を実施して、第1期生に対しての塾を修了することとしている。

 ③地方鉄道の車両保守における技術継承研修会の開催

 平成21年度から4年間にわたり「地方鉄道」の実態をアンケート調査などにより把握し、課題と対策をまとめてきた。

 その結果を反映した「車両保守に関わる研修テキスト」(気動車版)が完成したので、このテキストの有効活用を図るため、平成25年度は東北・関東甲信越エリアの地方鉄道を対象に、当協会主催、JR東日本協賛、国土交通省後援により、車両保守における技術継承研修会を開催した。

 具体的には、下期に宇都宮運転所、郡山総合車両センター郡山派出、新津運輸区の3か所で計4回開催し、36社の地方鉄道の合計70名の受講者があった。引き続き、平成26年度は関西、九州及び中部エリアの地方鉄道に対しても研修会の実施を計画していく。

 以上の他、以下のテーマについても取り組んだ。

ウ.鉄道事業者共通課題の調査検討

 関東・中部地区のJR東日本、公民鉄の車両担当課長を中心に定期的な連絡会議を2ヶ月に1回開催し、技術情報、保守情報、故障情報などの活発な情報交換を行った。

 また、関西地区では在阪の公民鉄7社からなる車両担当者連絡会を開催し、各種機器の保守、新造車両の受け取り検査や検修設備の年次点検などのテーマで事業所見学を含め各社持ち回りで行った。

エ.電子機器等の誤動作防止に関する研究会への協力

 湘南モノレール事故に関する運輸安全委員会の意見に対し、事業者及び設計製造会社等の電子機器等の故障防止関係の情報の共有化を目的としたノウハウ集を整備する研究会が国土交通省に設置されているが、当協会はその事務局として、引き続き研究会に提示する資料のデータ分析及び取りまとめを行った。

オ.車両関係工事施行技術者資格認定制度の見直し

 車両関係工事施行技術者資格認定制度のテキストの見直しや論文試験の改善等について検討を行った。また、受講者数のまとめ、講習会、試験の実施、資格認定証の交付、運用管理者会議などを実施した。

(2) 機械関係

 平成25年度は、機械委員会の下で、策定された中長期ビジョンに則り以下の活動を実施した。

ア.機械企画小委員会

 教育及び知識普及活動の一環として、若手機械関係社員を対象とした技術伝承についてのセミナーを実施した。

 また、機械企画小委員会の役割を見直し、今後は機械委員会のサポートや最新技術等の見学会も年1~2回計画することにした。

イ.エネルギーマネジメント技術小委員会

 より効率的なエネルギーマネジメントを実施するために、平成16年からエネルギーマネジメント技術小委員会において鉄道施設内における中小規模 建築物のエネルギーマネジメント手法について研究を行っているが、平成25年度も引き続き中小規模駅や現業事務所の空調設備を対象に調査研究を実施した。

 その結果をまとめ、平成26年6月を目途に報告書を作成していくこととする。

ウ.機械設備メンテナンス技術小委員会

 効率的なメンテナンスに有効であるモニタリングシステムのあり方と保全業務への活用策について、対象機種を選定した上で調査・研究を行い、今後のメンテナンス手法の革新に向けて提言する計画であったが、具体的な方法については現在検討中である。

エ.昇降機技術小委員会

 昇降機の取替え工事は、使用を休止して実施しなければならないため、短期間での施工が望まれるが、施工上の制約が多く、かなりの時間と費用がかかっている。

 最終的には駅のような環境でもリプレイスしやすい昇降機の研究を行い、駅の昇降機仕様として確立していくが、平成25年度は最近の事例を基に議論を進めた。

オ.ホームの安全確保技術小委員会

 ホームの安全性向上を目的とした設備には点字ブロックをはじめとして各種 のものがあるが、中でも可動式ホーム柵は最も有効な設備として設置が進められている。

 そこで導入されている可動式ホーム柵を調査し、各種仕様の機能などがわかる手引きを作成することを目的に平成24年度から本小委員会を設立して活動を開始した。

 平成25年度は、平成24年度に取り決めた各鉄道事業者に対するアンケート調査や視察を実施した。

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[ 受託事業 ]

 平成25年度の受託研究は、以下のとおりである。

(1) 鉄道及び軌道の技術基準の運用状況等に関する調査検討(車両関係)

 有識者や鉄道事業者からなる「鉄道部会」、「気動車部会」の2部会を設置し、鉄道及び軌道の技術基準の運用状況をアンケート調査して報告書をまとめて提出した。

(2) 気動車の技術検討及び評価委員会(エンジン・変速機の検査内容見直し)

 気動車の将来のエンジン・変速機の解体検査周期延伸を行うため、引き続き有識者や実務者からなる委員会を設置し、試験車によるデータ収集等による現状分析や評価方法等を検討した。

(3) コンテナ積付検査ハンドブックの改訂

 現在使用しているコンテナ積付検査ハンドブックは、平成18年に作成されて以来今日まで数多くの通達や指示事項が出されているため、実態と合わなくなっていた。そのため、通達等を取り入れ、分かりやすいものに改訂した。

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2.技術認定試験事業

 車両関係及び機械関係の工事施行技術者に対する資格認定のため、講習会及び認定試験を実施した。

 平成25年度は、車両関係では新規599名(対前年39名増)、更新1,036名(対前年86名増)の計1,635名(対前年125名増)が、機械関係では新規1,396名(対前年35名増)、更新2,340名(対前年27名増)の計3,736名(対前年62名増)が受験した。

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3.鉄道車両用材料燃焼性試験事業

 車両用材料燃焼性判定試験は、1,665件(コーンカロリーメータ発熱性試験141件を含む)であった。

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4.教育及び知識普及事業

(1) 全国「車両と機械」研究発表会及び特別講演会の開催

 優秀な論文と提案の研究発表会への参加をJRはじめ、公営・民営鉄道及び関連グループ会社並びに関連メーカーに呼びかけた結果、応募論文が62件(対前年5件増)、応募提案が22件(対前年3件増)あった。

 応募論文は発表論文選考部会において20件を、発表提案は事務局において5件を選考し、平成26年2月20、21日に発表会を開催した。

 発表後、審査委員会を開催し、各賞を決定した。平成25年度は最も優秀な論文に鉄道局長賞を授与していただくこととなったほか、新たに会長賞を新設した。この結果、論文では鉄道局長賞1件、会長賞1件、優秀賞2件、優良賞2件、特別賞1件、奨励賞13件を、提案では優秀賞1件、奨励賞4件を表彰した。発表会の参加者は延べ424名であった。

 また、特別講演会を開催し、東京急行電鉄株式会社 鉄道事業本部 運転車両部 車両課課長 門田 吉人様から「東急東横線と東京メトロ副都心線との相互直通運転について」の講演をいただいた。

(2) 「車両と機械」技術セミナーの開催

 鉄道固有技術及びその周辺技術に関するテーマ8件を選考して、9月5日、10月3日、11月5日、12月5日の計4回開催し、西武鉄道、大阪市交通局、日本精工、日本車輌製造、東芝、三菱電機、京浜急行電鉄、国土交通省鉄道局技術企画課の皆様方からご講演をいただいた。聴講者は延べ346名であった。

(3) 「機械技術セミナー」の開催

 鉄道事業者及びその協力会社の若手機械関係社員を対象に、企画力育成を目指した「機械技術セミナー」を平成25年10月31日から11月1日に開催し、12名が参加した。

(4) 鉄道設計技士「試験区分 鉄道車両」受験対策講習会の開催

 鉄道設計技士(鉄道車両部門)試験の受験準備を目的に、分野別専門講師による講習会を7月13日に開催し、49名(対前年14名増)と多数の参加者を得た。

(5) 専門技術研修の開催

 平成24年度に出版した鉄道電気車両シリーズ3「主電動機」を教材とした専門技術研修を、東京地区で11月26日に、関西地区で2月5日に開催した。受講者は合計48名であった。

(6) 第18回海外鉄道調査団の派遣

 ヨーロッパにおける最新の技術、新しい機械設備の導入等、鉄道車両と鉄道駅機械設備の状況調査を、10月9日~18日の10日間の行程で北欧への派遣を実施した。参加者は19名で、その結果を報告書にまとめ、報告会を3月11日に開催した。報告会の参加者は30名であった。

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5.刊行物発行事業

(1) 協会誌「R&m」

 幅広い読者層に親しまれる技術専門誌として、新しい研究開発の紹介や技術解説、現場で抱える技術課題などを掲載し、充実した内容、判りやすい記述、タイムリーな情報掲載に努めた。

 また、2月の編集委員会で、平成25年中の「R&m」誌から優秀記事の選定を行った。

(2) 「新幹線電車の技術経緯」の刊行

 平成26年は、昭和39年(1964年)の新幹線開業から丁度50周年目にあたるが、信頼性が高く環境に優しい高速新幹線システムが、如何に幾多の困難を克服して構築されてきたかに関する、新幹線電車の技術経緯を詳述した刊行書「新幹線電車の技術経緯」を3月に出版した。

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6.表彰

 平成25年6月20日の定時総会開催日に、平成24年度の功労賞20名、功績賞4名、優秀技能賞30名の方々と、「R&m」の平成24年中の掲載記事の中の優秀賞5件、特別賞1件を表彰した。

 また、平成26年3月27日に開催された表彰選考委員会で、平成25年度の特別功績賞1名、功労賞20名(内団体1含む)、功績賞5名、優秀技能賞29名の方々が、また、平成26年2月のR&m編集委員会で、平成25年中の「R&m」掲載記事の中から優秀賞5件、特別賞1件が選考された。これらの方々に対する 表彰は、平成26年度定時総会後の表彰式で行う。

 なお、平成25年度の全国「車両と機械」研究論文発表会における優秀論文・提案の表彰は、平成26年2月20、21日に実施された発表会後に実施済である。

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7.設立20周年記念事業

 当協会は平成25年7月に、社団法人として設立してから20年の節目の年を迎えた。それを記念して、11月22日に国土交通省、JRや公営・民営鉄道事業者、鉄道関係の協会、車両および機械設備関係のメーカーや保守会社等の総勢約200人をご招待して、記念式典・祝賀会を開催した。その中で、協会の事業や運営の活動に対する功労者への感謝状(10人)や特別功績賞(8人)の贈呈式や、パナソニック株式会社顧問古池進様から「閉塞感の漂うエレクトロニクス業界に今、求められる経営・技術革新」と題する記念講演を行った。

 また、記念誌「20年のあゆみ」の発行、若手会員を対象とした各支部独自主催の国内研修、本部主催の海外研修(ベトナム)、各支部独自の記念行事の開催等の各種活動を行った。

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8.電子図書館の開設

 平成23年7月26日に設立委員会を立ち上げて以来、より良い電子図書館の構築をめざして、基本設計やコンテンツの検討を行ってきた。

 平成25年度は全体システムの構築及び協会誌のデータ化を実施した。その結果、年度末に「鉄道工場」、「車両と機械」、「R&m」の各誌を主体とした電子図書館を開設することができた。また、一部団体会員の「技報」等のサイトへリンクを張り、会員への技術情報の提供とサービス向上を図った。

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9.会員の動向

 平成26年3月末現在の団体正会員は913社(対前年度12社減)、個人正会員は6,886名(対前年度106名増)となった。