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セミナー

2022年度「車両と機械」技術セミナーの開催

 本セミナーは、鉄道関係業務のうち、鉄道車両及び鉄道周辺機械設備に関連しておられる
技術者の方々を対象に開講しています。保守・設計・開発をしている関係技術者の方々の業務上
での参考になることを目的としたものです。講演テーマは前記の鉄道車両及び鉄道周辺機械設備
に関連するものから、基礎知識的に必要と思われる分野、最近話題になっている先端技術分野の
ことまで、幅広い分野のテーマを取り上げています。今年度も下記のとおり、4回に分けて7テーマ
を計画しておりますので、多数の皆様にご参加頂きますようご案内します。
1. 開催日時および演題・講師
   第1回  9月 1日(木) 13:30~16:50
             No.1 ブレーキシステム・制輪子の現状課題およびその対応
                   ~ブレーキ・制輪子安全向上WGによる調査研究より~
          東急電鉄株式会社 鉄道事業本部 車両部 車両総合事務所 
                   所長
                   門田 吉人 様
          公益財団法人鉄道総合技術研究所 車両技術研究部 
                   ブレーキシステム研究室 主任研究員
                   中澤 伸一 様

   第2回  10月6日(木) 13:30~16:50
       No.2 新しい形での自動運転―ATS-DKベース・GoA2.5自動運転実現に
                   向けた取り組み
          九州旅客鉄道株式会社 鉄道事業本部 安全創造部(自動運転PJ)
          青柳 孝彦 様

      No.3 車内防犯カメラ東急所属全車両設置に向けて 
             LED蛍光灯一体型カメラの導入~短期間での設置・設置コスト削減・遠隔把握~
         東急電鉄株式会社 鉄道事業本部 車両部 元住吉検車区 検車区長
                 木村 明 様
    第3回  11月 4日(金) 13:30~16:50
      No.4 水素ハイブリッド電車(HYBARI)の開発とJR東日本の研究開発
         東日本旅客鉄道株式会社 JR東日本研究開発センター
                 環境技術研究所 上席研究員
                 一木 剛 様
      No.5 JR東日本における車両CBMの取り組み
          東日本旅客鉄道株式会社 鉄道事業本部 モビリティ・サービス部門
                 車両ユニット(車両保全技術)
                  片野 香菜子 様
   第4回 12月1日(木) 13:30~16:50    
      No.6 JR西日本におけるホーム安全スクリーンの開発と故障予測AIによる
                出改札CBM(AITEMS)
                西日本旅客鉄道株式会社 鉄道本部 施設部 機械課 課長
               清水 勝 様
      No.7 高砂熱学工業でのカーボンニュートラルの取り組み
                高砂熱学工業株式会社 研究開発本部 カーボンニュートラル事業開発部 
                担当部長
                万尾 達徳 様
2.場 所
       虎ノ門法経ホール 大ホールAB(虎ノ門法曹ビルB1F)
                 東京都港区西新橋1-20-3 Tel 03-5501-2750
3.募集人員
       各回100名(定員に達し次第締切とさせて頂きます。)
4.参 加 費 
       (1) 4回連続聴講の場合は26,180円/4回分一括払いです。(税込価格)
        (4回分でお申し込みの場合、会員・会員外の方の参加費は同じです。
                また4回分一括払いの聴講券で一度に4名までの聴講ができますので、
                 参加される御希望回を選定してください。)
       (2) 1回毎の聴講の場合は7,370円です。会員以外の方は8,360円です。
                                                     (いずれも税込価格)

5.参加申込み
       (1)E-mailまたはFAXにより参加者または申込者の会社、所属、連絡先住所、
               メールアドレスおよび電話番号を記載のうえお申込み下さい。
        参加費のお支払いは、参加者または申込者への受講票の送付と合わせて
               お知らせ致します。
       (2)申込先 〒105-0003 東京都港区西新橋1-19-4 難波ビル5F
                                          (一社)日本鉄道車両機械技術協会
                                               担当 企画部  湯本 昇
                                             E-mail: yumoto-n@rma.or.jp
                                             TEL 03-3593-5611 
                                            FAX 03-3593-5613
6.申込書
       申し込み時のお願い
       4回連続聴講券は1回ごと1枚づつでも、特定の1回に4名様聴講でも、
       いかようにも分割可能です。
       ただし、申し込みの際に実際に聴講する回と人員を『申込別』の欄に記入して下さい。
【講演概要】
 (第1回 9月1日)
No.1 ブレーキシステム・制輪子の現状課題およびその対応    
 ~ブレーキ・制輪子安全向上WGによる調査研究より~
 鉄道の安全確保に関する諸問題は極めてプライオリティの高いテーマであるが、
安全を主題とし、鉄道事業者ならびに関連機器メーカーが横断的かつ継続的に調
査研究する機会は非常に少ない。
 当協会では、車両の安全問題を扱う「車両安全技術委員会」を2015年度より
新たに設置し、その分科会組織として「安全性向上調査研究部門」を備え、車両の
動的側面及び技術的境界問題を切り口とする車両の安全問題に関する調査研究を行
っている。
 当部門では、2014年2月東急東横線元住吉駅構内において発生した電車衝突
脱線事故をきっかけに、最初に取り組むべき対象としてブレーキシステム・制輪子
を選定し、「冬期におけるブレーキ性能に関する調査研究(2015~2018年度)」
を実施した。そして、さらに踏面制輪子に着目してその特性を理解すること、性能
向上のために「踏面ブレーキシステム」のあるべき姿を考えることを目的に、
「ブレーキ・制輪子安全性向上WG」を立ち上げ、2019年度から3年間にわたり
踏面ブレーキシステムにおける課題の抽出および各種試験による検証等に取り組んだ。
本講演では、主に車両のブレーキ設計・製造およびメンテナンスに関わる実務者に
向けて、WG活動で得られた知見を紹介したい。
(第2回 10月6日)
No.2 新しい形での自動運転―ATS-DKベース・GoA2.5自動運転実現に向けた取り組み
 JR九州では、少子高齢化や人口減少が進む中で鉄道ネットワークを長期的に維持
していくため、安全性を維持・向上しながら効率化を推進している。また、将来に
わたる労働人口減少の中で必要な人材を確保するため、作業の自動化や機械化を
推進しており、中期経営計画2022-2024の「経営基盤の強化-DX推進」に掲げた、
オペレーション改革の一環である自動運転の実現のため、「ATS-DKをベースとした
自動運転システム」の開発に取り組んでいる。
 2020年12月24日より香椎線西戸崎~香椎間、2022年3月12日より香椎線全線に
おいて、当システムの営業列車による実証運転を開始した。本実証運転は、運転士が
乗務した状態ではあるが、「ATSベース」「踏切がある」「JR線」において、いずれ
も国内で初めての自動運転の実用化となった。なお、本システムは運転士以外の係員
が前頭に乗務する自動運転(GoA2.5)、いわゆるドライバレス運転実現を目標として
おり、国土交通省主催の「鉄道における自動運転技術検討会」の取りまとめを踏まえ
つつ、2024年度末までの実現を目指しているところである。
 本講演では、当システムの概要と検証試験および実証運転の経過について紹介する。
No.3 車内防犯カメラ東急所属全車両設置に向けて LED蛍光灯一体型カメラの導入
   ~短期間での設置・設置コスト削減・遠隔把握~
 防犯カメラは、犯罪行為の抑止や捜査機関への情報提供など、その有用性は広く
社会的に認知されるようになってる。鉄道車両内においても昨今犯罪行為や迷惑行為
が散見されており、防犯カメラを設置することに対する社会的ニーズは高まっている。
 当社では、2015年度より車内防犯カメラの設置を開始、2020年夏に開催予定で
あった東京オリンピック・パラリンピックを見据え、設置を進めていたが、車両新造
時に車内防犯カメラを搭載する場合大きな課題はないものの、既存の車両へ車内防犯
カメラを設置する場合は、機器や配線の新規敷設のための内装工事に伴う工事費の
増加および工事期間の長期化が課題として挙げられていた。
 既設の車内防犯カメラは遠隔での通信機能を持たないスタンドアローンタイプのため、
記録映像を確認する際は当該の車両まで赴き、記録媒体を抜き取った上で事務所内などに
ある専用パソコンにて記録映像を読み出す必要があり、係員の負担増加となっていた。
 以上を設置における課題と認識し、工事不要の防犯カメラの設置に向けて各種試験に
よる検証等に取り組んだ。
 本講演では、既存車における車内防犯カメラ設置における短期間での設置・設置コスト
削減・遠隔把握に向けて当社で得られた知見を紹介する。
 (第3回 11月4日)
No.4 水素ハイブリッド電車(HYBARI)の開発とJR東日本の研究開発
 JR東日本ではこれまでに、環境負荷の小さい車両としてディーゼル・ハイブリッド車両
や架線・バッテリーハイブリッド車両の営業導入を進めてきが、さらに将来に向けて、
水素をエネルギー源とした水素ハイブリッド電車を開発することにした。
 試験車両の形式はFV-E991系であるが、愛称名を「HYBARI(ひばり):HYdrogen-HYBrid
 Advanced Rail vehicle for Innovation」と命名した。HYBARIは水素を燃料とする
燃料電池装置と主回路用蓄電池から構成されるハイブリッドシステムを採用している。
燃料電池装置は新規に開発することはせず、自動車用に既に実用化されているものを
採用し、鉄道車両用にカスタマイズして搭載した。HYBARIは2022年3月に完成し実証試験
を開始した。実証試験では、水素充填試験や走行性能試験、燃料電池制御試験、ハイブリ
ッド制御試験など水素をエネルギー源とする水素ハイブリッド電車としての様々な技術と
安全性の検証を実施している。
 その他、JR東日本において取組んでいる省エネルギー・脱炭素に関する研究開発の
概要を紹介する。
No.5 JR東日本における車両CBMの取り組み  
JR東日本では、グループ経営ビジョン「変革2027」の中でIoTやAIなどの最新技術
の活用による「スマートメンテナンス」の実現を掲げており、車両部門では、「スマート
メンテナンス」の実現において車両CBMを推進している。車両CBMの導入は、車両品質の向上、
効率的なメンテナンスの実現及びメンテナンス社員の働き方改革を目的としている。2018年
6月より、山手線で運行しているE235系電車を対象に、状態監視データを活用した状態基準
保全(CBM:Condition Based Maintenance)による新しい保全体系(メンテナンスのメニュー
と周期を定めたもの)として「モニタリング保全体系」をスタートさせた。このモニタリング
保全体系を導入したE235系電車だけでなく、当社ではE131系やGV-E400系などさまざまな車両
形式において状態監視データを取得し、車両CBMの実現に向けたデータ分析を進めている。また、
最近では定期検査で測定したデータ(検修データ)を活用し、機器の状態に応じたメンテナンス
の検討についても取り組んでいる。本講演では、当社のモニタリング保全体系の概要や、E235系、
E131系、GV-E400系などの車両形式における状態監視データの分析・活用事例、検修データの
活用事例について紹介する。
(第4回 12月1日)
No.6 JR西日本におけるホーム安全スクリーンの開発と故障予測AIによる出改札CBM
                                 (AITEMS)
 ・ホーム安全スクリーンの開発
    駅ホームからの転落事故を防止する観点からホーム上の安全設備の整備拡大が急務
   とされている中、可動式ホームの整備には多額の費用が掛かるため、よりコストパフォ
   ーマンスに優れ柔軟性の高い設備としてお客様が線路に転落したこと検知し、列車を
   停止させるシステムを開発した。
    そのシステム内容やアルゴニズム、現地導入に至る検証内容や今後の展開等について
   紹介する。
 ・故障予測AIによる出改札CBM(AITEMS)
    JR西日本では約20,000万台の出改札設備を有しており、そのメンテナンスに多大な
   労力とコストがかかることが長年の課題であった。これまでも異常データや稼働データ
   の自動収集し、それらを基に状態の悪い機械をリストアップし、特別点検を実施する
   仕組みを導入してきたところであるが、今回AIによる将来の故障を予測し、メンテナンス
   計画を作成する仕組みを導入したので、どのアルゴニズムや効果、今後の展開等について
   紹介する。
No.7 高砂熱学工業でのカーボンニュートラルの取り組み
 脱炭素に向けては、まずはCO2排出量削減に直結する(即効性が高い)省エネルギー施策を
講じ、その上で再生可能エネルギーから作られる電力や水素などを導入することが重要となる。
高砂熱学工業では、、再生可能エネルギーを活用した建築設備のゼロエネルギービル(ZEB)
化とグリーン水素(再生可能エネルギーから製造するCO2排出のない水素)活用による、
カーボンニュートラル実現への貢献に取り組んでいる。高砂熱学イノベーションセンターで
の太陽光発電、バイオマス発電、蓄電池、井水を活用し、潜顕分離空調と個別空調を組合せた
空調システムによるZEBと、太陽光発電、蓄電池、水電解装置、燃料電池で構成される、再生
可能エネルギーおよび再エネ由来水素をエネルギー源とする防災機能を有する持続可能な低炭
素型マイクログリッドについて紹介する。