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セミナー

2023年度「車両と機械」技術セミナーの開催

 今年度の「車両と機械」技術セミナーは全て終了いたしました。
 多数のご参加、有難うございました。
 本セミナーは、鉄道関係業務のうち、鉄道車両及び鉄道周辺機械設備に関連しておられる
技術者の方々を対象に開講しています。保守・設計・開発をしている関係技術者の方々の業務上
での参考になることを目的としたものです。講演テーマは前記の鉄道車両及び鉄道周辺機械設備
に関連するものから、基礎知識的に必要と桃われる分野、最近話題になっている先端技術分野の
ことまで、幅広い分野のテーマを取り上げています。今年度も下記のとおり、4回に分けて8テーマ
を計画しておりますので、多数の皆様にご参加頂きますようご案内します。
                     記
1. 開催日時および演題・講師
  第1回  9月 1日(金) 13:30~16:50
      No.1 次世代型太陽電池
         東芝エネルギーシステムズ株式会社
         エネルギーアグリゲーション事業部 次世代太陽電池開発部
         シニアマネジャー 戸張 智博 様
      No.2 NS台車
                 日本車輌製造株式会社
                鉄道車両本部 技術部 台車システムグループ
                 グループ長 三原 丈和 様
  第2回  10月6日(金) 13:30~16:50
      No.3 東京メトロ 相互直通運転における取組み
                 東京地下鉄株式会社
                 鉄道本部 車両部
                 設計課 課長補佐 西原 潤樹 様
           No.4 相模鉄道の都心直通プロジェクトについて
                 相模鉄道株式会社  
             運輸車両部 車両課
                 車両課長 村松 健太郎 様
   第3回  11月 2日(木) 13:30~16:50
       No.5 デジタル技術を活用したメンテナンスと安全確認支援
                  公益財団法人鉄道総合技術研究所
                  情報通信技術研究部長 福田 光芳 様
      No.6 JR東海における在来線車両の状態監視の取り組みについて
                  東海旅客鉄道株式会社
                  東海鉄道事業本部
                  車両部検修課 課長 市川 八郎 様
  第4回 12月1日(金) 13:30~16:50
           No.7 改札機はどこから来て どこに向かってゆくのか
            JR東日本メカトロニクス株式会社 常務取締役
                 シンクライアントシステム
                 開発本部長  片方 聡 様
       No.8 ホームドアの更なる整備拡大に向けた取組み
                 ~RFIDを活用したホームドア連携システムの開発(JR東日本)と
                              ホームドアリニューアル工法の開発(西武鉄道)~
         東日本旅客鉄道株式会社
                 鉄道事業本部 設備部門
                 機械ユニット
                 マネジャー  長沼 聡 様
                 西武鉄道株式会社
                 鉄道本部 電気部 電力課
                 課長補佐  田口 美幸 様
2.場 所
       虎ノ門法経ホール 大ホールAB(虎ノ門法曹ビルB1F)
             東京都港区西新橋1-20-3 Tel 03-5501-2750
3.募集人員
       各回80名(定員に達し次第締切とさせて頂きます。)
4.参 加 費 
       (1) 4回連続聴講の場合は26,180円/4回分一括払いです。(税込価格)
        (4回分でお申し込みの場合、会員・会員外の方の参加費は同じです。
                また4回分一括払いの聴講券で一度に4名までの聴講ができますので、
                参加される御希望回を選定してください。)
       (2) 1回毎の聴講の場合は7,370円です。会員以外の方は8,360円です。
                                                  (いずれも税込価格)

5.参加申込み
       (1)E-mailまたはFAXにより参加者または申込者の会社、所属、連絡先住所、
               メールアドレスおよび電話番号を記載のうえお申込み下さい。
        参加費のお支払いは、参加者または申込者への受講票の送付と合わせて
               お知らせ致します。
       (2)申込先 〒105-0003 東京都港区西新橋1-19-4 難波ビル5F
                                      (一社)日本鉄道車両機械技術協会
                                          担当 企画部  湯本 昇
                                        E-mail: yumoto-n@rma.or.jp
                                        TEL 03-3593-5611 
                                       FAX 03-3593-5613
6. 申込書
       申し込み時のお願い
       4回連続聴講券は1回ごと1枚づつでも、特定の1回に4名様聴講でも、
       いかようにも分割可能です。
       ただし、申し込みの際に実際に聴講する回と人員を『申込別』の欄に記入して下さい。
【講演概要】
 (第1回 9月1日)
No.1 次世代型太陽電池
 2020年度に経済産業省から発表された2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略では、
我が国の発電量に占める再生可能エネルギーの比率を2050年には50~60%まで増やすことが宣言された。
この中で、再生可能エネルギーの主電源化や運輸の電動化の推進が挙げられており、太陽電池の活用が
ますます期待されている。現在我々の開発している次世代型太陽電池は主電源化、運輸の電動化に貢献
できる技術であり、早期の社会実装を目指して日々開発を行っている。
 フィルム型ペロブスカイト太陽電池は、軽量フレキシブルの特長を活かし従来の結晶系Si太陽電池
では設置できない場所への設置を想定している。Cu2Oタンデム太陽電池は高効率の特長を活かし設置
面積が限られる自動車等へのモビリティへの搭載を目指している。今回は当社の開発の取り組み状況を
ご紹介する。
No.2  NS台車
 台車は、車体や乗客などの荷重を支えつつ、駆動力や制動力を車体に伝達し、車両が安全に走行する
ための重要な装置である。当社では、在来線用台車に関して、①高い安全性を有した台車枠、②鉄道事業
者における保守の省力化、③バランスの取れた走行性能の実現を目的として、東海旅客鉄道殿と共同で
次世代台車「NS台車」の開発を進めてきた。
 今回のセミナーでは、台車の歴史や一般的な構造等を紹介した後、NS台車についてお話しする。特に
NS台車の大きな特長である台車枠の側バリと横バリに一体成型プレス材を用いることで形状の最適化と
溶接個所の削減を実施し信頼性の向上と省メンテナンス化を実現した点や、3方向独立サスペンション
により優れた走行性能を確保したタンデム式軸箱支持装置の特徴について、経緯や設計段階での苦労等
交えながら紹介する。
 あわせて、当社が2021年に発表した、NS台車も含めた新ブランド:N-QUALISのコンセプトと各技術に
ついて紹介する。
(第2回 10月6日)
No.3  東京メトロ 相互直通運転における取組み
 東京地下鉄株式会社(以下、東京メトロ)は、1920年に「東京地下鉄道株式会社」として創立し、
1927年に銀座線:浅草~上野間で日本初の地下鉄営業を開始した。
 その後、1941年に「帝都高速度交通営団」となり、1954年に丸ノ内線:池袋~御茶ノ水間の開業、
1961年に日比谷線:南千住~仲御徒町間の開業を経て、1962年に日比谷線:南千住~北千住間の開業
と合わせて、東武鉄道株式会社と当社初の相互直通運転を開始した。
 現在では、東京メトロ全9路線のうち7路線において相互直通運転を実施しており、2023年3月18日に
「相鉄・東急直通線」が開業したことにより、東京メトロと相互直通を行っている鉄道事業者は10社局
となり、相互直通を含めた総延長距離は556.6kmのネットワークを構築するに至った。
 東京メトロが所有する2,722両(2023年3月31日時点)のうち、銀座線及び丸ノ内線所属車両を除いた
2,164両を相互直通運転に供しており、各相互直通先の設備等の仕様に合わせ、車両の仕様は多岐にわたる。
 本講演では、東京メトロの相互直通運転に関する概要の他、主に車両関係を中心に相互直通運転に求め
られる各社局との調整や手続きに関する事項、車両の装置仕様や検証のための試験等について紹介する。
No.4  相模鉄道の都心直通プロジェクトについて
 相模鉄道は1917年に創立され、当時は現在の神奈川県茅ケ崎市に本社を置いていた。その後、時代の
波にもまれながら、神奈川県の中央部を走る神中鉄道を吸収合併した結果として拠点を横浜に移し、
時には苦境を乗り越えて鉄道会社としての成長を遂げてきた。
 そして、1990年には大手民鉄の仲間入りを果たしたが、“首都圏で唯一都心への乗り入れがない
大手民鉄”として、横浜と神奈川県央部を結ぶ路線で営業していた当社としては、都心への乗り入れが
一つの悲願だった。
 その悲願であった都心乗り入れが、2019年11月30日に「相鉄・JR直通線」、2023年3月18日には
「相鉄・東急直通線」が開業し、相鉄新横浜線(西谷駅~新横浜駅)が全線開通し、都心直通プロ
ジェクトを実現した。
 本講演では、その都心直通プロジェクト実現に向けた当社の取り組みについて、会社戦略上の意義
や目的、開業に向けた車両関係を中心とした諸準備や課題と解決方法、直通用の新型車両(12000系、
20000系、21000系)車両の乗入れに関連した仕様や工夫・苦労などについて紹介する。
 また直通が開始となった今感じる、将来に向けた課題、将来展望などについても述べる。
 (第3回 11月2日)
No.5  デジタル技術を活用したメンテナンスと安全確認支援
 日本の鉄道は、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少が避けられない状況ですので、安全・安定輸送
の維持・向上を図るためには、鉄道システムの各分野での無人化、省人化、省力化の推進が喫緊の課題
といえる。鉄道総研では、「デジタル技術による鉄道システムの革新」を基本方針の1つとして掲げ、
最新のデジタル技術を用いて課題解決するための研究開発を進めている。
本講演では、メンテナンスに関する研究開発と安全確認を支援するための研究開発の事例を紹介する。
メンテナンスについては、車両や地上設備の検査を省人化・省力化する成果、計測したモニタリング
データから異常やその兆候の検出に関する成果、計測したモニタリングデータ等を伝送・集約するため
の通信ネットワーク技術について紹介する。また、安全確認を支援するための研究開発は、安全性向上
や運転士・乗務員などの負担軽減を目指すものです。特殊信号発光機の明滅検知やホーム上の安全確認
に関する成果を紹介する。
No.6  JR東海における在来線車両の状態監視の取り組みについて
 JR東海において在来線車両の状態監視は、平成11年に投入した313系電車に無線通信装置を搭載
したことで、一部走行区間の車両データを車両故障の防止に活用できないか検討を始めたことが、開発
のきっかけとなった。その後、313系の増備およびキハ25形の投入により車両搭載機器の不具合
予兆検知手法の開発を本格的に開始し、その結果、平成28年には一部の機器においてデータ分析に
よる不具合予兆検知を実現できるようになり、車両故障の防止に寄与してきた。一方で313系や
キハ25形は、取得できる車両データ量に制限があり、解析についても限界があったが、令和4年に
投入した315系・HC85系ではLTE通信を活用し、大量の車両データを常時取得できるようになった
ため、313系やキハ25形で得られた状態監視手法をベースに、社内に設置したチームで分析手法
の検討を進め、令和4年4月から状態監視の分析システム「DIANA」(名称;ディアーナ)の運用を
開始した。本セミナーではJR東海の在来線車両の状態監視の取り組みおよびDIANAのシステムの概要及び
そこで得られた不具合予兆の検知の一例を紹介するとともに、今後の当社の状態監視システムの進化の
方向性について紹介する。
(第4回 12月1日)
No.7 改札機はどこから来て どこに向かってゆくのか
 JR東日本は本年5月27日、北東北3県でSuicaを使った出改札サービスを開始した。これまでの
改札機は、Suicaの情報を読み取り、経路判定と運賃計算を行って、その結果をSuicaに書き込んで
いたが、今回新たに北東北に導入した改札機は、これら改札機の機能を遥か数百キロ離れたコンピ
ュータに実装することにより、Suicaの処理をこのコンピュータと改札機が連携して実行という、
シンクライアント方式を採用した初めての改札システムなのである。
 今回は、Suicaが開発された当時の状況に加えて、どうして各事業者がそれぞれ発行している交通系
ICカードの相互利用が実現したのか、これまでの取り組みを振り返るとともに、今回実導入が実現
したシンクライアント改札システムの開発と北東北のその後の状況についてお話する。また、この
シンクライアント改札システムが社会システム基盤となることにより、どんな可能性が生まれるのか、
ということについても触れたい。併せて、JR東日本メカトロニクス㈱の最近の取組状況についても
説明して参りたい。
No.8 ホームドアの更なる整備拡大に向けた取組み
~RFIDを活用したホームドア連携システムの開発(JR東日本)と
                         ホームドアリニューアル工法の開発(西武鉄道)~
 JR 東日本では、お客さまと列車との接触や線路への転落を防止する対策として、2031 年度末頃
までに東京圏在来線の主要路線330 駅758 番線にホームドアを導入することを目標として整備を
推進している。整備にあたり、車両の扉とホームドアを連動して開閉させるとともに、お客さま
居残り時やホームドア故障時には列車を抑止することで安全性を確保するため「ホームドア連携
システム」を設置している。これまで主に採用してきたトランスポンダ方式の場合、車両改造ボ
リュームが大きく、期間、コストに課題があった。
 本講演では、この課題を解決のため、RFIDおよび汎用無線機を活用した新たな「ホームドア連携
システム」の開発を行ったので、本システムについて紹介する。
 また、西武鉄道では、1日当たりの乗降人員10万人以上の駅について2021年3月にホームドア設置
工事を完了した。現在は今後予定されている池袋線・新宿線のホームドア設置の準備に着手している。
さらに今後の検討課題として、運用中のホームドアについて、老朽による機器更新を日中の運用を
継続したまま、安全に効率的に実施する方法を検討した。
 本講演では、内部機械部品の大幅リニューアルについて、運用を継続したまま工事を実施する
新工法を紹介する。