中期計画

中期計画

1.協会の目指す方向

定款に定める目的事項「鉄道車両並びに鉄道に関連する機械等についての技術の進歩改善に関する調査研究及び試験を行うと共にその知識の普及を図ること等により、鉄道の安全確保と運営改善の推進に寄与する」を達成するため、協会が中期的に目指すべき方向は次のとおりとします。(図1)

(1) フィールドの専門技術を集積した
技術セクターとしての協会
鉄道車両および機械設備等のフィールドの専門技術の継承、普及および発展に努めます。その過程で得られた知見をもとに、技術セクターとして鉄道の発展のため積極的に情報発信していくとともに、地域の鉄道技術を支える役割をも担っていきます。
(2) 鉄道の安全確保と運営改善の推進に
寄与する協会
鉄道事業にとって重要な安全・安定輸送の確保について、各種取組を通じてその実現に取組んでいきます。また、事業運営の改善に資する活動について、地域鉄道も含め日本の鉄道事業全体のレベルアップに貢献します。
図1 協会の目指す方向
(3) 会員のニーズにタイムリーにお応えしコミュニケーションの広がりが実感できる協会
これまで進めてきた調査・研究活動等の諸事業を引き続き充実させていくとともに、新たなニーズも積極的に取り上げていく等、タイムリーにお応えできる協会を目指していきます。
協会の会員構成は、「鉄道事業者の皆様」、「鉄道車両および機械設備等の工事、保守に携わるグループ会社、協力会社の皆様」、「メーカの皆様」等多岐に亘り、地域的にも年齢的にも幅広いものとなっています。この持ち味を生かして、会員相互のコミュニケーションの広がりや参加する楽しさを実感して頂ける場の提供等に努めていきます。
(4) 幅広い会員の参加のもと健全な財務基盤を有する協会
団体及び個人会員を安定的に確保し、協会に寄せられる内外のご要望に応えて持続的かつ安定的に事業運営を行っていくため、一般社団法人として公益的な事業に加えて収益事業も積極的に展開し、協会活動の基盤となる健全な財務基盤を実現していきます。

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2.重点取組み事項

協会が中期的に目指すべき方向に沿い、2018年度から2020年度の3年度において取組む重点事項は、次のとおりとします。(図2)

(1) 安全性向上への取組み
鉄道の安全確保に関する諸課題は、協会にとって極めて優先度の高いテーマです。そこで、安全問題について、幅広く調査研究活動に取組むとともに、有益な情報を広く関係者間で共有し活用する体制を整え、事故防止をテーマに現場社員の参加型の取組み等を進めます。また今後、地域鉄道へ更に参加を広げると共に、メールでの情報配信の充実等ネットワークの活用等の活動を進めます。
機械設備については、特に駅の安全確保に関する課題に取組むと共に、公民鉄の機械設備に携わる関係者との連携を広げ、共通の課題に取り組みます。
図2 重点取組み事項

また、鉄道の安全確保や品質確保に関わりの深い「施行資格認定試験」を推進すると共に、「車両用材料燃焼性試験」については、海外の動向も踏まえた試験方法や試験設備の更新について関係個所と共に検討し、さらなる信頼性向上につとめることで、鉄道事業者のご期待に応えていきます。

(2) 技術革新・先進技術への取組み
技術革新に伴い、電子化・情報化の進展や新技術・先進技術の導入が顕著となっており、協会としても引き続き技術の進歩に積極的に対応していく必要があります。
また、生産人口の減少といった社会の動向に対応するため、メンテナンス人材の確保や先進技術の活用に取組むこととします。
具体的には、会員各社が協会を中心に一堂に会して、新技術・先進技術に関する情報や知見を交換することを通じて相互の理解を深め、それを一定の技術的提言にまとめることで、情報共有化の促進に貢献していきます。また、調査研究成果を技術基準(省令)の制定や改定に反映させていくことについて、計画的に取組むこととします。
業務の高度化、効率化を推進するために、CBM等情報処理技術を利用したデータ活用によるメンテナンス及び検修設備の革新等に一層注力すると共に、鉄道車両の自動運転、検修業務効率化、車両及び機械設備におけるお客様サービス等の諸課題に新たに取組むこととします。さらに、新エネルギーの課題、環境にやさしい社会への取組み、諸技術間のいわゆる境界問題となる課題、ユーザ視点からの機器の標準化の分野についても、取組みの領域を広げていくこととします。
(3) 技術継承・向上のための教育訓練等への取組み
鉄道事業者各社を中心に、技術者の世代交代に伴う技術継承問題が会員共通の問題として大きくクローズアップされてきています。これまで協会としては、各種図書の刊行、研修会やセミナーの開催等に取組んできましたが、会員のニーズにマッチした教育訓練プログラムについては、各種「車両技術講座」を充実させることにより体系化を図ります。
また、習得した技術力を客観的に評価・認定する制度等について検討を進め、成案を得て逐次具体化を図っていきます。
機械設備関係においては最新技術や現場の技術情報の共有化を図るため、ハンドブック等を基にした研修会や現場事例の発表会などに取組みます。
(4) 会員の参加を広げる取組み
若手社員や現場社員等の協会活動参加への工夫、メーカー会員の一層の情報提供の工夫、調査研究成果物の会員の皆様への提供、研修・セミナー等の地方開催による参加の容易化、関東以外の地方会員の皆様にも直接参加して頂ける協会行事の支部単位での開催、電子図書館やメール等を活用した会員各位への情報提供等ネットサービスの活用による情報手段の多様化等、本部及び支部が一体となって進めていきます。
また、会員の皆様にとって協会との接点でもある「R&m」誌の編集内容について、より身近なものになるよう改善策の具体化を図ります。
(5) 健全な財務基盤を実現するための取組み
財務基盤強化のために最も基本的な取組みは、協会を構成する会員数の増員であり、まずは協会本部、支部一体となって新たな会員の入会勧誘に積極的に取組むこととします。
また今回策定した中期計画を推進する過程で、収益事業の育成に一層の努力をし、公益的事業と収益事業のバランスを図っていくこととします。

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3.活動計画

協会の目的と目指す方向、並びに取組みの重点を具体化し、2018年度から2020年度の3年間程度の中で取組むべき事業は以下の通りです。

3.1 調査・研究事業、技術・サービス提供事業

協会の立場を生かして、関係各位からのお力添えを頂くことにより各事業者社個々では取組みがたい課題の調査研究を進めることや、客観性・不偏性のある結論を導き出していくこと等を主眼に、調査・研究事業を進めて行きます。

また、当協会の公益的な立場に関わって期待される様々なニーズ、特に地域鉄道を含む各鉄道事業者を協会として可能な範囲内で支援していく役割を含め、関係各所からの技術・サービスの提供要請に応えていきます。

以下に、中期的な重点取組み事項(1)~(4)項毎の活動計画について述べます。

(1) 安全性向上への取組み

(車両関係)
①「境界問題に関する調査研究」の推進
境界問題については、引き続いて「冬季のブレーキ性能に関する調査研究」について海外の調査結果等を踏まえて検討を進めますが、今後、台車とレール・パンタと架線間等の境界問題も含め広く検討を進めることとします。
②「地域鉄道との活動」の拡大
地域鉄道との活動については、「地方鉄道の車両保守における技術継承研修会」「鉄道事業者に対する有益な不具合情報提供のための取組み」等を実施していますが、特に「鉄道事業者に対する有益な不具合情報提供のための取組み」については、情報発信の頻度向上に取組むと共に、今後は有益情報の効果的な活用のため、会員向けの勉強会等を検討します。さらに地域鉄道とのヒアリング等を通じて研究を深めるなど、事故防止に一層寄与出来るように取組みます。
また、地域鉄道へのアンケート調査結果から要望が多かった「廃車発生部品照会の取組」について、検討を行います。
③現場立会い交流会の推進
検修技術向上調査研究部会では、現場に直結した現場社員参加型の活動を主体に車両故障防止及び車両保守の品質向上に努めると共に、現場における検修技術の向上を図ります。
(機械関係)
①「メンテナンス技術小委員会の取組み」の推進
鉄道機械設備の事故・故障事例を10年ぶりに調査・集約及び研究し、事故・故障事例集の充実を図ることにより、事故及び故障の低減並びに新入社員の安全教育の充実を図っていきます。
②機械検修工事施行技術者資格認定制度の充実
機械検修工事施行技術者資格認定制度のテキストや試験問題の見直しを実施し、より安全意識の高揚を推進します。

(2) 技術革新・先進技術への取組み

(車両関係)
①「鉄道及び軌道の技術基準の運用状況に関する検討(車両関係)」の推進
国土交通省からの鉄道及び軌道の技術基準の運用状況に関する調査研究について作業部会を設置し、報告書を提出します。
②「技術革新・先進技術への取組み」の推進
今後の車両検修に向け、CBM導入のための基礎づくりに取組みます。
自動運転に関する自動車分野等における技術革新・先進技術の動向を踏まえ、鉄道事業における自動運転の課題や方向性について検討を進めます。
③「お客様サービスへの取組み(車両設備)」の推進
お客様サービスの観点から、「お客様サービス調査検討委員会(車両設備)」において、車両設備に関するお客様サービス機器の課題を調査し、今後のお客様サービス機器のあり方について検討します。
④「検修業務効率化への取組み」の推進
今後、検修従事者の確保が困難になることが想定されるため、検修作業の効率化について「検修現場における品質・生産性向上委員会(仮称)」を計画し、検討を進めます。
また、今後の省メンテナンス車両に対応した車両検修設備のICTを活用した将来像を策定し、設備面からの検修現場の革新を目指す取組みをおこないます。
(機械関係)
①「昇降機技術小委員会の取組み」の推進
昇降機の停止時間の短縮に関する研究やお客様のサービス向上策を検討していく研究に取組みます。
②「ホームの安全確保技術小委員会の取組み」の推進
ホームドアの設置駅が増え色々な課題が発生していますが、それらをひとつずつ整理検討していくことにより、故障が少なくかつコスト低減が図れる研究に取組みます。
③「エネルギーマネジメント技術小委員会の取組み」の推進
新たに、鉄道事業者において重要な機器室の空調を取り上げ、エネルギーマネジメントを考慮した機器室空調のあり方等に取組みます。
④「技術革新・先進技術への取組み」の推進
先端技術への取組みとして、各方面で利用が拡大されているロボットに関する研究や、鉄道車両において今後利用が想定される燃料電池車両に対応する地上設備の基礎研究について取組みます。
(貨物関係)
①「車両検修業務の見直し」の推進
貨車の編成交検の可能性について、「貨車の効率的な運用に関する調査研究」として取組みます。
②「車両検修内容の見直し」の推進
「コキ107形式及びコキ200形式コンテナ貨車の全般検査・交番検査(指定取替)検査周期延伸」及び「DF200形式ディーゼル機関車の機関検査周期延伸」に取組みます。

(3) 技術継承のための教育訓練等への取組み

(車両関係)
①「技術継承のための教育訓練等への取組み」の拡大
技術継承の取組みについては、「車両検修設備マニュアル策定作業部会」を引き続いて開催すると共に、新たに、顧客ニーズに合った迅速な設計検討と設計技術力の向上及び、効率的な改造施工のための改造設計力の向上のため「改造設計技術向上のための手引書作成」に取組みます。
(機械関係)
①「技術継承のための教育訓練等への取組み」の推進
技術継承への取組みについては、機械設備業務のマネジメントを伝承する「機械技術継承セミナー」を推進します。
②「地域特情のある機械設備の技術情報共有」の推進
各技術小委員会として取組んでいない「消融雪設備」「車両検修設備」等の技術情報等の共有化を検討していきます。
(貨物関係)
①「技術継承のための教育訓練等への取組み」の推進
技術継承教育への取組みについては、「コンテナ貨車検査ハンドブック」の作成に取組みます。

(4) 会員の参加を広げる取り組み

(車両関係)
①「会員の参加を広げる取組み」の拡大
会員のニーズの把握結果から協会への要望として「情報共有化の場の提供」の希望が最も多かったため、「会員の参加を広げる取組み」として、鉄道事業者間や鉄道事業者とメーカ間等の「情報共有化」の各種取組みを拡充します。
具体的には、「公民鉄車両部長連絡会」「全国鉄道事業者車両担当課長連絡会」「公民鉄関係車両担当課長連絡会」「若手管理者を育成するスキルアップ塾」等を引き続いて開催します。
新たに、事業者・メーカ間の情報共有を図るため、「メーカ各社による鉄道事業者向けの技術・製品説明会の開催」を検討します。また、「電子機器ライフサイクル調査検討(仮称)」を計画し、電子機器の劣化傾向や事故情報の共有化を図ります。
特殊鉄道事業者への取組として、モノレール、新交通システム等鉄道事業者との交流を通じて、情報の共有化と共に課題解決のあり方を検討します。
(機械関係)
①「会員の参加を広げる取組み」の拡大
会員の参加を広げる取組みに関しては、「現場の取組み事例発表会」「研究成果物を活用した研修会(勉強会)」を実施して、会員に対して協会活動の紹介を行なっていきます。

3.2 施行資格認定制度・燃焼性試験

協会の持つ客観的・不偏的な立場を十分生かし、各種試験を公正・適切に推進すると共に、今後の更なる展開についても検討を進めます。

①施行資格認定制度の充実
JR各社様関連で実施してきている施行資格認定制度について、事務の正確性を高めるためのシステム化、受験者のデータベース構築を推進してきました。今後、鉄道車両保守の重要性を踏まえながら「車両関係車両工事施行技術者資格認定」制度の適用範囲の可能性について検討を行っていきます。
また、「機械検修工事施行技術者資格認定」制度においては、講習環境の整備や試験業務の効率化を行っていきます。
②鉄道車両用材料燃焼性試験の充実
平成3年に交通安全公害研究所から引き継いで、今日まで多数の試験を行い会員各位の事業に貢献してきました。今後は、従来の試験方法や判定方法の改善を行うと共に、海外の動向も踏まえ新たな試験方法や試験設備の更新について関係箇所と共に検討していきます。

3.3 教育・知識普及活動

教育・知識普及活動については、全国「車両と機械」研究発表会参加者の拡大、協会誌「R&m」の全面カラー化及び広告掲載料金を改定すると共に掲載内容の充実、技術解説書の充実、図書館収納図書の充実等に加え、各種「車両技術講座」を逐次開講し「車両技術講座の体系化」を図ります。

また、「技術力を客観的に評価・認定する制度」についても検討を進め、逐次具体化を図ります。

①車両技術講座の体系化
車両技術講座の体系化については、平成29年度から開始した「車両技術講座(技術基準)」に加えて、平成30年度以降、各種「車両技術講座」を逐次充実させ、車両技術教育の体系化を図ります。
また、参加人員の状況により地方開催等、容易にご参加頂ける工夫についても検討を進めます。
②技術力を客観的に評価・認定する制度の検討
鉄道事業者の技術力を客観的に評価・認定する方法等について具体的に検討を進めます。その結果を生かして、第三者的に技術力を認定する制度の構築について関係箇所との検討を進めます。
③全国「車両と機械」研究発表会
地域鉄道の参加、各支部「改善報告会」等からの応募の奨励を行い、「会員の参加の幅を広げる取組み」を行い、研究発表会の一層の活性化を図ります。
④刊行図書の充実
ア.協会誌「R&m」の発行
車両と機械設備に関する専門誌として、高い技術的専門性を基幹としつつ、読者にとって読み易さや親しみ易さを併せ持った技術誌とするよう、紙面を全面カラー化すると共に逐次改善を進めます。
イ.技術解説書の充実
既に、「主回路電力変換装置」「主回路システム」「主電動機」「集電装置」「台車」を刊行しましたが、次に「補助回路概論」の作成を計画し、電車関係の主要な装置の技術解説書を一通り揃えることとします。
ウ.「ハンドブック」の発行と研修会の実施
機械設備関係において各技術小委員会活動の成果である「ハンドブック」の発行と研修会の実施を推進します。
エ.その他
身近な技術知識を習得するための刊行図書の発行を計画します。
⑤電子図書館機能の充実
収納図書の充実、閲覧方法の工夫を検討し、より魅力度を増すべく改善を図ります。

3.4 事業推進体制

協会運営の基盤を確立することは必須の課題であり、必要な投資を行うと共に、収入の確保を図ります。

①会員サービスの充実
ホームページの活用、メールを活用した協会の情報発信等により、会員へのサービス強化に努めます。
具体的には、協会のホームページに新たに会員向けコーナーを開設し、情報提供等の会員限定のサービスを充実させると共に、ホームページから会員の入会・変更手続きが可能なシステムとします。
また、会員各位のメールアドレスを活用し、協会の諸活動のご案内を送付させて頂き、情報発信の強化に努めます。
②会員の拡大
協会本部、支部一体となって、会員サービスの充実を図りつつ、JR及び公民鉄の車両関係及び機械設備関係の現場実務者に対しても、会員の入会勧誘に積極的に努めます。
また、「車両関係車両工事施行技術者」及び「機械検修工事施行技術者」資格認定企業、地方公民鉄各社ともネットワークを構築し、協会活動への参加と団体会員としての入会を呼び掛けていきます。
③投資計画の推進
鉄道車両用材料燃焼性試験の試験方法、電子図書館の充実、協会ホームページの改善等について検討します。
④事業活動の積極展開等における収入増加と経費節減
各種受託研究の積極的な受注、技術資格認定試験業務及び鉄道車両用材料燃焼性試験事業の推進、R&m誌への広告掲載数を拡大し会員読者にとって有益な成果が上がるように努める等、各収益事業において増収を図り、併せて経費の節減に努めます。